パリンドローム

缶詰

唐突だが、皆さんは「そうめんチャンプルー」をご存知だろうか?

東京下町生まれの私でもさすがに「ゴーヤ」や「豆腐」といったメジャーな「チャンプルー」は知っていた。しかし、夏の風物詩「そうめん」=「冷たい食べもの」という固定概念があった私にとって、テレビ番組でたまたま見たアツアツの「そうめんチャンプルー」は、とても斬新で魅力的に感じられた。そこで週末に早速チャレンジ。すると妻、娘、孫からも実に高評価を得たのだ。久々にポイントアップ、まさに父権の復権である。作り方はごく簡単。材料は、そうめん、ツナ缶、ニラ、青ネギ、塩コショウだけ。4人前であってもかなり財布に優しいエコメニューだ。

参考までに作り方をご説明しよう。

(1)フライパンにツナ缶を豪快に入れ、そこにニラとネギを加え弱火で炒める。
(2)1~2分、硬めに茹でたそうめんを(1)に入れてほぐしながらよく炒める。
(3)最後に塩コショウで味を調え、水気を軽く飛ばす。
(4)お皿に盛って青ネギを乗せて出来上がり。

ものの10分ほどで完成する一品。実にコストパフォーマンスが良い。
もともと「ちゃんぽん」が語源という「チャンプルー」は、なんらかの食材と「混ぜて」炒めるだけで「○○チャンプルー」と呼ぶらしい。「タマナー(玉菜=キャベツ)チャンプルー」「マーミナー(豆菜=もやし)チャンプルー」「パパヤー(パパイヤ)チャンプルー」「フー(麩)チャンプルー」。そのバリエーションは、無限の可能性を秘めている。

閑話休題。

「ツナ缶」で思い出した資格がある。
それは「打検士(だけんし)」という幻の公的資格だ。なぜ「幻」なのかというと平成9年に輸出検査法の廃案と同時に消滅してしまった資格だからである。かつて、「ツナ缶」はもちろん、日本から輸出する全ての食品缶詰には打検士による「打検」が義務付けられていた。「打検」とは、先端に小さな金属球が付いた20数センチの打検棒を使用して缶の蓋または缶の底を叩いた「音」、打検棒から手に伝わる「振動」で良品と不良品(膨張やモレ、過量・軽量等)を判別するいわゆる非破壊検査法である。

以前、商社で働いていたころに実際にツナ缶工場でその検査を見たことがある。打検士はベルトコンベアー上を流れる缶を一つ一つ叩き、工場のラインが稼働する騒音の中でも良品と不良品を「音」とその手に感じる「振動」で見極めるのである。1分間に200~300缶叩くというそのリズミカルな調べ。まさに職人、匠の技であった。今でもこの打検士を継承している企業もあるそうだが、当然ながら缶詰工場の多くは、精密なハイテクセンサーなどデジタル検査機器に置き換わっている。先輩から後輩へ「この音」「この手に伝わる感覚」という「聴覚」と「触覚」で認知する人間の五感。そのアナログな方法で伝承してきた仕事が、いつの間にか無機質なデジタル機器に置き換わるのはなんとなく寂しい気もする。

これまでも産業革命の度に人間が開発した機械が人間の仕事を奪い、そして人間はまた新たな仕事を開発して働き続けてきた。第一次産業革命時代に失業のおそれを感じた手工業者・労働者が自分たちの仕事を奪おうとする機械に木靴(サボ/仏語)をぶつけて破壊し、仕事を取り戻そうとしたエピソードから「サボる」という言葉が生まれたのはあまりに皮肉な話だ。

もうすでに突入した「IoT×AI」による第四次産業革命時代。私たちのミライに何が待ち構えているのだろうか。悲観は気分であり、楽観は意志だという。そうきっと時代は回るはず。

そうめんチャンプルーの「夏のツナ(ナツノツナ)」。
打検士の「右手バテ気味(ミギテバテギミ)」。
アナログな頭の中に壊れたレコードのようにくだらない言葉が回る。

仕事をサボらず、「IoT×AI」と共生するスキル。IBAT国際取引業務検定が皆さんのミライの一助になれたら、まさに資格検定冥利に尽きる。

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